ペナン島からクアラルンプールへ。飛行機なら1時間ですが、今回はフェリーで海峡を渡って、対岸のバターワース駅から列車でマレー半島を南下するルートを選びました。
その第一区間が、この記事のフェリーです。ジョージタウンの海沿いから対岸のバターワースまで、所要約15分。大人ひとりRM2.00(約70円)でした。

のんたん「移動」を目的地のあいだの空白だと思っていたんですが、この15分がペナンで一番おもしろい時間になりました。乗ってみて分かったことを、写真多めで全部書きます。
そもそも、なぜ橋ではなくフェリーなのか
ペナン島と対岸のマレー半島側(バターワース)のあいだには、すでに2本の長い橋がかかっています。車で渡るならそちらです。
ではフェリーは何のためにあるのか。答えは乗ってみてはっきりしました。このフェリーは車を積みません。運ぶのは徒歩の人と、バイクと、自転車だけです。
わが家の目的地はバターワース駅(Penang Sentral)で、そこはフェリー乗り場のすぐ隣。車で橋を回ると渋滞込みで45分〜1時間、フェリーなら15分。荷物を持った徒歩の旅行者にとっては、選ぶまでもありませんでした。



車を捨てたから船が速くなったんですよね。橋に車を任せて、船は人とバイクだけに絞る。役割を重ねずに分けたぶん、両方が速いんだと思います。
乗り場|ジョージタウンの Pangkalan Raja Tun Uda
島側のターミナルは「Pangkalan Raja Tun Uda(ラジャ・トゥン・ウダ・ターミナル)」。Pangkalan はマレー語で「桟橋」という意味だそうです。世界遺産エリアの海沿い、姓周橋(チュー・ジェッティ)のすぐ近くにあります。


ターミナルの手前には市内バスの発着所が広がっていて、島の交通がここに集まっているのが見て取れます。ホテルからはGrabで向かい、この一帯で降ろしてもらいました。


入口には「LALUAN FERI KE BUTTERWORTH(バターワース行きフェリー通路)」の青い矢印。スーツケースを引いた人が同じ方向へ歩いていくので、迷いようがありません。


屋根付きのスロープを上がっていくと「TERMINAL FERI」「KAUNTER INFORMASI(案内所)」の表示。階段ではなく緩やかなスロープなので、大きな荷物でも上がれました。
チケットは現金NG|券売機でRM2.00


建物に入ると、いきなり改札です。日本の駅とほとんど同じ構造で、床には進む向きの足跡マークまで描かれていました。


柱に貼ってあったのがこれ。「CASHLESS PAYMENT」——現金は使えません。クレジット/デビットカード、Touch ‘n Go、GrabPay、Boost、Setel、Alipay+、WeChat Payなどが並んでいます。



ここ、事前に知らないと詰みます。両替したリンギット紙幣を握りしめて行っても、券売機は受け取ってくれません。


券売機は日本のセルフレジと同じ感覚で操作できました。人数を選んでカードをタッチすると「Successful Order!」の画面になり、QRコード付きの紙のチケットがレシートのように出てきます。


これが実際のチケットです。「Trip: George Town – Butterworth (One Way)」「Price: 2.00」。大人ひとりRM2.00、有効期限はその日の23:58まで、と印字されていました。
💰 ペナンフェリーの運賃(片道・訪問時)
◆ 大人:RM2.00(約70円)
◆ 子ども(5〜11歳):RM1.00
◆ 4歳以下:無料
◆ バイク:RM2.50/自転車:RM2.00
◆ 現金不可(カード・各種QR決済のみ)
わが家は大人2+子ども1で合計RM5.00(約175円)。海峡をひとつ渡る金額とは思えませんでした。
え、これ船でしょ?日本のバスより安いよ。船のほうが高いと思ってた!
メイの感覚はまっとうだと思います。船=観光の乗り物、というイメージが日本だと強い。でもここでは通勤・通学に毎日使われている生活のインフラで、値段もそれに合わせてあります。



RM2は儲けから逆算した値段ではないんですよね。島と本土を毎日行き来する人の家計に合わせた価格。観光客はそこに相乗りさせてもらっている側だと思います。


チケットのQRを改札にかざして通過。ここから先が待合エリアです。
待合ロビーが想像の3倍快適だった


正直、もっと素朴な桟橋を想像していました。実際は天井にファンとエアコンが入った、空港のゲートラウンジのような空間。ステンレスのベンチが両側にずらりと並んでいます。


そして「WiFi PERCUMA(FREE WiFi)」の表示。同じフロアには「STESEN PENGECASAN(充電ステーション)」もあり、待ち時間にスマホを充電できます。売店もあってお菓子や飲み物が買えました。



RM2の乗り物の待合に、無料WiFiと充電と売店。ここでマイと顔を見合わせました。「これ、日本の離島の待合所より整ってない?」って。


待合の奥に赤い電光掲示板があり、「Waktu Perlepasan Seterusnya(次の出発時刻)」と、その日の運航ダイヤが交互に流れています。


わが家がターミナルに着いたのが11時半ごろ、掲示された次の便は12:00。この日は30分間隔だったので、約30分の待ちになりました。
⏱ 運航ダイヤ(訪問時に確認した内容)
◆ ジョージタウン発:7:00 〜 23:30
◆ バターワース発:6:30 〜 23:00
◆ 平日ラッシュ時は20分間隔、それ以外は30分間隔
◆ 所要時間:約15分(航路約3km)
※ダイヤは変更されることがあります。最新の時刻は現地の電光掲示板または運航事業者の公式情報でご確認ください。



30分間隔は「早く行けば早く着く」が効かない区間なんですよね。列車の時刻から逆算して、1本前に乗るつもりで動くと気持ちが楽になると思います。
乗船|船の半分がバイク置き場でした


時間になると通路が開き、桟橋へ。停まっていたのはクリーム色と水色の、思ったより新しい船でした。船体には「IMO 9977634」の番号。
この航路は2023年に4隻の新造船へ入れ替わっており、いずれもペナン島の湾の名前(Teluk=湾)が付けられています。1隻あたり旅客約250人+二輪約50台。車を積む設備は最初からありません。
乗ってまず驚いたのが構造でした。船内は半分が客席、もう半分がバイクを並べる甲板。人が乗り込む横を、原付やスクーターが列になって入ってきて、係員の誘導でびっしり並べられていきます。
バイクも船に乗るんだ!じゃあこの人たち、海の向こうに毎日バイクで通ってるってこと?
そういうことだと思います。島で働いて本土に住む人、その逆の人が、毎日この船でバイクごと海を渡っている。観光船ではなく通勤船なのだ、と目で分かった瞬間でした。
15分の航海と、海の上から見たペナン


出航してしまえば、あっという間です。窓の外を、対岸の港のクレーンや作業船が流れていきます。冷房の効いた客席から見ていると、これが「移動」ではなく「短い航海」に感じられました。
マイは窓側でずっとスマホを構えていて、メイは「橋はどこ?」と海の向こうを探していました。船からペナン大橋の方向は見えるものの、この航路は橋よりだいぶ北を通ります。
バターワース着|Penang Sentralまで屋根つきで歩ける


対岸のターミナルは「Pangkalan Sultan Abdul Halim」。降りるとすぐこの案内板があり、「PEJALAN KAKI(歩行者)」と「MOTOSIKAL/BASIKAL(バイク・自転車)」で出口が完全に分かれます。
同じ船で来たバイクの群れとは、ここでお別れ。歩行者は左の通路へ流れていきます。


バターワース側の待合は、島側とはだいぶ雰囲気が違いました。黄色い鉄骨の大屋根に、赤と青のプラスチック椅子が点々と並ぶ開放的な空間。海風が抜けて、こちらのほうが「港」という感じがします。


そして、この景色です。桟橋に並んだフェリー2隻の向こうに、さっきまで自分たちがいたジョージタウンの街並みと、背後の山の稜線。
あっち側に、さっきまでいたんだよね。島って、外から見ると本当に島なんだ。
3日間歩き回った街を、海を挟んで外から眺める。地図で「島」と知っていたことと、対岸に立って island だと目で確かめることは、別のことでした。飛行機で飛んでいたら、この視点はなかったと思います。
ここから先はバターワース駅(Penang Sentral)へ。ターミナルからはほぼ屋根と屋内通路でつながっており、雨でも濡れずに移動できます。ただし駅のホームまでは思ったより歩くので、列車の発車時刻には余裕を持たせておくと安心です。
🌏 今回のおもしろ発見(旅育)
① 「船だから高い」は思い込みだった—RM2という値段から、この船が観光の乗り物ではなく毎日の通勤インフラであることに、メイ自身が値段だけで気づいた
② バイクが海を渡っていた—船内の半分がバイク甲板。「海の向こうに毎日通う人がいる」という生活の形を、並んだバイクの列から読み取った
③ 島は、外から見て初めて島になる—対岸に渡って振り返ったジョージタウンの街並み。地図の知識が、目で見た事実に置き換わった瞬間
パパのワンポイント|乗る前に知っておきたい5つ
✅ ペナンフェリー攻略メモ
① 現金は使えません。クレジットカードかTouch ‘n Go等のQR決済を必ず用意しておくこと
② ダイヤは20〜30分間隔。列車や飛行機に接続するなら、1本前に乗るつもりで時間を組む
③ 車は積めません。レンタカー移動なら橋を使うことになります(渋滞注意)
④ 待合に無料WiFi・充電ステーション・売店あり。30分待ちでも子どもが持ちます
⑤ スロープと屋根つき通路が整備されています。大きなスーツケースでも階段に苦しむ場面はありませんでした
★総合評価
★ ペナンフェリー(ジョージタウン⇄バターワース)総合評価
観光・体験の満足度 ★★★★☆(車を積まず、客席の半分がバイク甲板という構造そのものが日本では見られない光景。対岸からジョージタウンの街並みを振り返る眺めも、この航路でしか得られない。ただし所要は約15分で、体験としては短い)
子連れのしやすさ ★★★☆☆(スロープと屋根つき通路で荷物と子ども連れでも移動しやすく、待合には無料WiFi・充電・売店もある。一方で次便まで最大30分の待ちが発生し、バターワース側の待合は屋外に近い造り。暑い時間帯は水分の用意を)
コスパ ★★★★★(大人RM2.00・子ども5〜11歳RM1.00・4歳以下無料。家族3人で海峡をひとつ渡ってRM5.00。有料の移動手段としては突出して安い)
アクセス・利便性 ★★★★☆(島側は世界遺産エリアの海沿いでバス発着所と隣接。対岸はバターワース駅(Penang Sentral)と屋根つきでつながり、そのままKTMの列車に乗り継げます。減点は20〜30分間隔という運航頻度)
子連れのしやすさだけ★3にしました。設備は十分ですが、「30分待つ可能性がある」ことと「暑い」ことは事実なので、そこは正直に書いています。
コスパは迷わず★5です。RM2という金額に対して、得られる時間短縮と体験の量が釣り合っていません。
このクラスターの全体まとめはペナン3泊4日まとめ|空港到着からKLへの陸路移動まで全19記事でまとめています。あわせてどうぞ。
施設情報
【航路名】ペナンフェリー(Rapid Ferry/Penang Port)ジョージタウン⇄バターワース
【島側ターミナル】Pangkalan Raja Tun Uda, Pesara King Edward, 10300 George Town, Penang, Malaysia
【本土側ターミナル】Pangkalan Sultan Abdul Halim, 12000 Butterworth, Penang, Malaysia(Penang Sentral/バターワース駅に隣接)
【運航時間】ジョージタウン発 7:00〜23:30/バターワース発 6:30〜23:00
【運航間隔】平日ラッシュ時 約20分間隔/その他 約30分間隔
【料金】大人 RM2.00/子ども(5〜11歳)RM1.00/4歳以下 無料/バイク RM2.50/自転車 RM2.00(いずれも片道)
【支払方法】現金不可。クレジット/デビットカード、Touch ‘n Go、GrabPay、Boost、Setel、Alipay+、WeChat Pay 等
【所要時間】約15分(航路約3km)
【設備】屋内待合(ファン・座席多数)、無料WiFi、充電ステーション、売店、トイレ、スロープ
【注意】乗用車は積載できません。徒歩・バイク・自転車のみの航路です
※運賃・ダイヤ・決済手段は変更される場合があります。最新の運航状況は必ず運航事業者の公式情報をご確認ください。
移動日って、旅のなかでいちばん「消化試合」になりやすい日ですよね。でも今回は、その移動そのものがメイの記憶に残りました。RM2の船で島を出て、対岸から自分たちがいた街を振り返る——お金をかけた体験より濃かったかもしれません。ジョージタウンは拠点にする宿で歩ける範囲がまるで変わるので、気になった方はぜひ以下のリンクから空室状況や最新のプランを確認してみてくださいね。素敵な旅になりますように!
ペナンフェリーのよくある質問
ペナンフェリーの料金はいくらですか?
片道で大人RM2.00、子ども(5〜11歳)RM1.00、4歳以下は無料です。バイクはRM2.50、自転車はRM2.00。わが家は大人2名+子ども1名で合計RM5.00(約175円)でした。
現金で支払えますか?
支払えません。完全キャッシュレスです。券売機・改札ともにクレジット/デビットカード、Touch ‘n Go、GrabPay、Boost、Setel、Alipay+、WeChat Payなどに対応しています。リンギットの現金しか持っていないと乗れないので、必ずカードかQR決済を用意してください。
車やレンタカーは乗せられますか?
乗せられません。現在のペナンフェリーは徒歩の乗客・バイク・自転車の専用で、乗用車を積む設備がありません。車で島と本土を行き来する場合は2本の橋を利用することになります。
何分おきに出ていますか?予約は必要ですか?
予約は不要で、当日その場で買えます。平日のラッシュ時は約20分間隔、それ以外は約30分間隔。わが家が乗った日は30分間隔で、ターミナル到着から乗船まで約30分待ちました。列車や飛行機に接続する日は、1本前を狙って動くと安心です。
バターワース駅(Penang Sentral)まではどう行きますか?
フェリーターミナル(Pangkalan Sultan Abdul Halim)はPenang Sentralに隣接していて、屋根と屋内通路でつながっています。雨でも濡れずに移動できますが、ホームまでは意外と歩くので、KTMの列車に乗る場合は発車の30分前には到着しておくと余裕があります。
スーツケースを持っていても乗れますか?
問題ありません。ターミナルは階段ではなくスロープで、通路も屋根つき。実際に大きなスーツケースを引いた旅行者が多く乗っていました。船内にも荷物を置くスペースがあります。
▶ あわせて読みたい:ザ・ミレン・ペナン宿泊記|ホテラックス×マリオットで特典を二重取り
▶ あわせて読みたい:チュー・ジェッティ(姓周橋)|いまも75戸が暮らすペナンの水上集落
▶ あわせて読みたい:クアラルンプール国際空港 乗り継ぎ完全ガイド|深夜0時着から翌朝のLCCまで








コメント