先に結論から書きます。ミセス・マッコーリーの椅子は、オペラハウスから歩いて、夕暮れ時に着くのが正解です。
そしてこの記事を書いている僕は、その正解を外しました。1時間ほど早く着いてしまって、日が沈む前に引き上げています。だからこそ、これから行く方には同じ失敗をしてほしくないんです。
2026年7月、ひとり旅の午後。オペラハウスから王立植物園を抜けて、この岬まで歩きました。片道20分ちょっとの、ちょうどいい散歩です。
のんたん景色は文句なしに最高でした!ただ、あと1時間粘っていれば……という後悔だけが残っています。次に来るときは絶対に時間を合わせます。
オペラハウスから歩き出す——ここが起点です
スタートはオペラハウス。見上げると、あの帆が空に刺さっています。


ここから海沿いに東へ歩くと、すぐに王立植物園(ロイヤル・ボタニック・ガーデン)の門が現れます。


入ったのは「クイーン・エリザベス2世ゲート(Gate J)」。看板の文字に足が止まりました。


いちばん上に「Bujari Gamarruwa」、その下に小さく「Good Day」。英語より先に、この土地のことばで挨拶が書かれています。この一帯はガディガルの人々の土地で、彼らの言葉で「こんにちは」。植物園の入口が英語ではなくこの語から始まっているのが、じわっと効きました。
そして、ここは入園無料です。
王立植物園——芝生とビル群と、白い鳥
門を抜けると、いきなり空が広くなります。


驚いたのが、この芝生の向こうにシドニーのビル群がそのまま立っていることでした。


手前は完全に公園なのに、奥は完全に都心です。日本の感覚だと、こんなに近い距離でこの落差はなかなかありません。芝生に寝転がっている人、走っている人。ここはランニングコースにもなっているようで、かなりの人が走っていました。景色がこれなので、気持ちよさそうです。


そして、この植物園でいちばん和んだのがこれです。


白い鳥が、芝生でのどかに戯れていました。逃げる気配もなく、木陰のベンチのすぐそばで自分たちのペースで過ごしています。柵もガラスもない場所で、鳥と人が同じ芝生にいる。これが無料で見られるというのが、この街の贅沢だと思いました。



都心の一等地をまるごと芝生にして無料開放している。この土地に値札を付けない判断が、結局この街の一番の資産になっているんですよね。
海沿いの道に出ると、振り返ればオペラハウスとハーバーブリッジ。歩いているだけで、ずっとこれです。




ミセス・マッコーリーの椅子——1810年に、囚人が岩を掘って作った
歩いていくと、道沿いに大きな砂岩の露頭が現れます。層になった岩肌に木が生えていて、これ自体がなかなかの見ものでした。


この先の岬の突端に、目的の「椅子」があります。


正直に言うと、最初は「どれ?」と思いました。豪華な玉座を想像していると、たぶん肩透かしを食らいます。これは、剥き出しの砂岩をベンチの形に削り出しただけのものです。


でも、由来を知ると見え方が変わります。これは1810年に、囚人たちが手で岩を掘って作った椅子です。ニューサウスウェールズ総督ラクラン・マッコーリーの妻、エリザベス・マッコーリーのために。
椅子の上の岩には、こんな碑文が彫られています。


「BE IT THUS RECORDED THAT THE ROAD … Mrs MACQUARIES ROAD … Measuring 3 Miles, and 377 Yards … Was finally Completed on the 13th Day of June 1816」。
訳すと、こういうことです。総督府の敷地を回るこの道は「ミセス・マッコーリーズ・ロード」と名付けられた。彼女がもともとこの道を構想したことにちなんで、総督が名付けた。長さは3マイルと377ヤード。1816年6月に完成した——。



3マイル377ヤードって、わざわざヤードまで刻んでいるんですよね。測って、彫って、残した。この執着が200年後の観光名所になっているのが面白いです。
彼女はここに座って、故郷スコットランドからの船が来るのを眺めたと伝えられています。座ってみると、たしかに湾の入口がまっすぐ見通せる場所でした。ベンチの形をした岩ひとつに、それを掘らされた人たちがいて、それを構想した人がいて、名前を刻んだ人がいる。ただの岩なんですが、ただの岩ではありませんでした。
- 1810年、囚人たちが砂岩を手で掘ってベンチの形に削り出したもの
- NSW総督ラクラン・マッコーリーの妻エリザベスのために作られた
- 上の岩の碑文は、彼女が構想した「ミセス・マッコーリーズ・ロード」(3マイル377ヤード)が1816年6月に完成したことを記録している
- 岬は王立植物園に隣接するザ・ドメインの一部。見学は無料
そして、この岬がすごい理由
椅子から振り返ると、これです。


オペラハウスとハーバーブリッジが、1枚の写真に並んで収まります。この岬が世界中から人を集めている理由は、これに尽きます。街のあちこちからオペラハウスは見えますが、この2つがきれいに横に並ぶ角度は、陸の上ではそう多くありません。
そして僕が行ったときは、運のいいことにちょうどクルーズ船が出航するところでした。クルーズ船、光る海、ハーバーブリッジ、オペラハウス。狙って撮れるものではないので、これは完全に得をした気分でした。手前のベンチに座って、ただこれを眺めている人がいて、その気持ちがよく分かりました。


大きな木の下から見ると、また違う画になります。ベンチも木陰もたくさんあるので、座る場所には困りません。
正直な反省——1時間、早すぎました
ここからが、この記事でいちばん伝えたいところです。


この写真が、僕がこの岬で撮った最後の1枚です。太陽はまだ橋の上にあって、水面が金色に光っています。悪くありません。悪くないんですが——これ、夕暮れではないんです。ただの西日です。
7月のシドニーは冬で、日没は17時前後です。僕がこの岬を離れたのは、その1時間近く前でした。つまり、いちばんいい時間が始まる直前に帰ってしまったことになります。



その場でも「夕暮れが最高だろうな、ちょっと早かったな」と思っていました。分かっていたのに動けなかったのが悔しいです……。
あの帆とアーチのシルエットが、赤くなった空の前に黒く浮かぶ。それが本番です。僕が見たのはその予告編でした。
- まずその日の日没時刻を調べる。冬(6〜7月)は17時前後、夏はもっと遅くなります
- 日没の1時間前にオペラハウスを出発する。歩いて20分ちょっとなので、着くのは日没40分前くらい
- 着いたら場所を決めて、あとは粘る。ベンチは多いので座って待てます
- 王立植物園は日没で閉まります。帰りは植物園を通らないルートになることを見込んでおく
- 歩いて往復するなら、飲み物は先に買っておくと快適です
それでも、と付け加えておきます。この散歩は、夕暮れを外しても十分に価値がありました。植物園の芝生、白い鳥、歩いているだけでずっと視界にいるオペラハウス。目的地に着くまでの20分が、そのまま観光でした。
★ ミセス・マッコーリーの椅子の総合評価
★ 総合評価(ひとり利用・2026年7月訪問)
観光・体験の満足度 ★★★★☆(オペラハウスとハーバーブリッジが1枚に並ぶ岬で、椅子そのものが1810年に囚人が掘った本物です。ただし体験としては「歩いて眺める」に収まりますし、僕自身は日没に1時間早くて本番を見ていません)
ひとり・出張での使いやすさ ★★★★☆(ベンチと木陰が多く、ひとりで座って待てます。ランナーや散歩の人が多いので浮きません。一方で売店らしい売店はなく、飲み物は先に用意しておく方が無難です)
コスパ ★★★★★(王立植物園も岬も椅子もすべて無料。シドニーで最も有名な構図が、1円もかけずに撮れます)
アクセス・利便性 ★★★☆☆(オペラハウスから徒歩20分ちょっと。最寄り駅もバス停も近くなく、基本は歩く場所です。散歩としては最高ですが、「ついでに寄る」感覚だと正直ちょっと遠く感じます)
このクラスターの全体まとめはシドニーソロ旅まとめ|ANA修行×お得ビジネスで巡る世界遺産1泊2日でまとめています。あわせてどうぞ。
施設情報
【施設名】ミセス・マッコーリーの椅子(Mrs Macquarie’s Chair)/王立植物園(Royal Botanic Garden Sydney)
【所在地】Mrs Macquaries Rd, Sydney NSW 2000, Australia
【営業時間・定休日】王立植物園は毎日7:00〜日没(季節により変動)。岬・椅子は屋外で常時見学可
【料金目安】無料(植物園・岬・椅子とも入場料なし)
【アクセス】シドニー・オペラハウスから王立植物園経由で徒歩20分ほど
【公式HP】Botanic Gardens of Sydney(Royal Botanic Garden Sydney)
※植物園の閉園時刻は日没に合わせて季節変動します。最新の営業状況等は、必ず公式HPをご確認ください。
旅先で「時間を合わせるためだけに待つ」って、なかなかできないですよね。次の予定が気になるし、もう十分いい景色を見た気にもなってしまいます。僕がまさにそれで、1時間早く切り上げて後悔しました。だからもし行かれるなら、この岬だけは予定を詰めずに、日没の時間に合わせて歩いてみてください。ここは散歩して、夕暮れ時に着くのがいちばんです。シドニーの夕暮れは短いので、気になった方は下のリンクから当日の日没時刻と植物園の閉園時間を確認してみてくださいね。素敵な夕暮れになりますように!
ミセス・マッコーリーの椅子のよくある質問
ミセス・マッコーリーの椅子へはどうやって行きますか?
オペラハウスから王立植物園を抜けて、海沿いに歩いて20分ほどです。最寄り駅やバス停が近くにあるわけではないので、基本は歩く場所だと思ってください。逆にその20分が景色の連続なので、散歩そのものが観光になります。
ミセス・マッコーリーの椅子はいつ行くのがベストですか?
夕暮れ時です。オペラハウスとハーバーブリッジが西日を背にシルエットになります。冬(6〜7月)のシドニーは日没が17時前後と早いので、日没の1時間前にはオペラハウスを出発するのがおすすめです。僕は1時間早く切り上げてしまい、本番を見逃しました。
入場料はかかりますか?
かかりません。王立植物園も、岬も、椅子も、すべて無料です。シドニーで最も有名な構図のひとつが無料で撮れます。
王立植物園は何時まで開いていますか?
毎日7:00から日没までで、閉園時刻は季節によって変わります。夕暮れを狙って行くと、帰りは植物園が閉まっている可能性があるので、帰路のルートは事前に見ておくと安心です。
ミセス・マッコーリーの椅子の「椅子」とは何ですか?
剥き出しの砂岩をベンチの形に削り出したもので、1810年に囚人たちが手で掘りました。NSW総督ラクラン・マッコーリーの妻エリザベスのために作られ、彼女はここから故郷スコットランドからの船を眺めたと伝わります。上の岩には、彼女が構想した「ミセス・マッコーリーズ・ロード」(3マイル377ヤード)の完成を記録した碑文が彫られています。









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