ジョージタウンの街を歩いていると、突然その一角だけ深い藍色になります。ブルーマンション——正式には張弼士(チョン・ファッ・ツー)邸。ペナンでいちばん写真に撮られている建物かもしれません。

2026年7月、家族3人で中に入ってきました。先に結論を書きます。ここは予約をしていないと、まず入れません。
私たちが行った日も「SOLD OUT」の札が出ていました

門の脇に立っているツアー案内板です。そしてこの写真の右下、青い立て看板に重ねて真鍮の札が下がっています。「TOUR TICKETS SOLD OUT/票已售罄」。私たちが着いた時点で、その日の当日券はもう無くなっていました。
実際、門の前には中に入りたかったけれど入れず、外から建物を撮っている人たちが何組もいました。私たちは事前に予約していたので入れましたが、していなかったら完全に同じ側にいました。
のんたんこの記事で伝えたいことの8割はこれです。行く日が決まっているなら、先に予約してください。外壁だけ見て帰るのは、あまりにもったいないので。
🎫 現地の案内板に出ていた見学方法(2026年7月時点)
ガイドツアー(英語) 11:00 と 15:30/所要45分/1回24名まで
大人 RM25・子ども RM12.50(6〜12歳)
セルフガイド音声ツアー 11:30・12:30・13:30・14:30・16:30・17:30
大人 RM25
プライベートツアー 毎日12:00〜14:00/1組RM350(または1人RM25・最大20名)/3日前までに要連絡
※料金・時間は変わることがあります。訪問前に公式サイトで最新の案内をご確認ください。



案内板に「1回24名までにしているのは130年の建物を守るため」とわざわざ書いてあるんですよね。売り切れは機会損失ではなく、意図した設計なんだと思います。
私たちが選んだのは「セルフガイド音声ツアー」でした
ガイドツアーは英語のみ、しかも11時と15時半の2回だけ。小3のメイを連れて45分の英語解説はさすがに厳しい、ということで自分のペースで回れる音声ツアーを選び、訪問の1週間ほど前に公式サイトから3人分を予約しました。
受け取ったeチケットに、静かに大事なことが書いてありました。
⚠️ セルフガイド音声ツアーは「1日10名まで」
eチケットの注意書きに、11時〜18時のあいだで受け入れるセルフガイドツアーの利用者は1日あたり最大10名と明記されていました。時間帯ごとではなく1日で10名です。
これが「当日行っても売り切れている」の正体でした。
持ち物にも条件があります。自分のスマホと、自分のイヤホンが必要です。購入すると「SmartGuide」というツアーアプリに案内され、そこに音声が入っています。館内でイヤホンを貸してくれるわけではないので、忘れると聞けません。
そして日本人にとって重要な発見がひとつ。現地の案内板には「英語と中国語」としか書かれていませんが、アプリを開いたら日本語の音声を選べました。おかげでメイも自分のペースで解説を聞けています。
日本語で聞けるなら、自分で進める!わたし先に行ってていい?
ガイドさんに連れられて歩く45分と、自分でボタンを押して聞く45分。子どもにとっては後者のほうが圧倒的に「自分の見学」になる——これは今回いちばんの発見でした。
藍色の壁と、青いトライショー


敷地に入ってすぐ目に入るのがこれ。壁の青に、トライショー(三輪の人力タクシー)の青。日傘まで含めて完璧に置かれていて、誰が撮っても絵になります。


正面の入口。掲げられた扁額には「光禄第」とあります。清朝の官位に由来する呼び名で、この家の主が何者だったかを一枚で示している看板です。


赤い提灯と、奥へ抜けていく暗がり。ここから先が屋内です。
38の部屋、5つの中庭、7つの階段、220の窓


門の脇の解説板に、この家の数字が並んでいました。部屋38室、中庭5つ、階段7つ、窓220枚。これで「一軒の家」です。
建てたのは張弼士(1840〜1916年)。解説板の言葉を借りると「無一文から身を起こした客家の実業家」で、清朝の高位の官職に就き、東南アジアの通商を任され、中国初の近代的な銀行と最初の鉄道の経営にも関わった人物です。亡くなったとき、この地域のオランダとイギリスの植民地政府が半旗を掲げた、とも書かれていました。
建物そのものも混ざりものです。アール・ヌーヴォーのステンドグラス、ヴェネツィアの鎧戸、ゴシックの木組み、ヴィクトリア朝の鋳鉄。そこに金箔を貼った木の格子と、中国の陶片を割って貼り付けた屋根飾りが同居しています。職人は各地から呼び寄せたそうです。



様式がばらばらなのに散らかって見えないのが不思議でした。当時この街に世界中のものが集まっていたからこそ成立した建物なんだと思います。
この家、一度は失われかけています。1989年に地元の有志が子孫から買い取り、1990年代を通して修復されました。その仕事が評価されて、2000年にユネスコのアジア太平洋文化遺産保全賞を受けています。案内板の「UNESCO award-winning」はこのことです。
中庭に立つと、風が通る


入ってすぐの中庭です。石畳、柱、ヤシ。ここで全員足が止まりました。


見上げると、屋根が四角く抜けて空が見えます。建物の真ん中に、天井のない部屋があるという感じでした。ペナンの暑さの中で、ここだけ確かに空気が動いています。
解説板には、この家は風水(geomancy)の考え方があらゆる部分に貫かれていると書かれていました。中庭も飾りではなく、そのための装置ということになります。
マイがぽつりと「気の流れがいいね」と言ったのですが、後から解説を聞くと、まさにそう作られていたわけです。


2階の回廊から見下ろすとこう。1階から見上げるのと、2階から見下ろすのとで、同じ中庭がまったく違う場所に見えます。自分のペースで回れる音声ツアーの良さが出るのはここでした。行ったり来たりできます。
細部を見はじめると、止まらなくなる


アール・ヌーヴォーのステンドグラス。濃紺と緑のガラスが、暗い木の壁の中で1枚だけ光っています。この家に220枚ある窓の1枚です。


階段。飴色の手すりに、深緑のカーペット。7つあるうちのひとつです。
階段が7個もあるおうちって、迷子にならないのかな。


黒いピアノと、掛け軸と、床のタイル。中国の書と、ヨーロッパの楽器と、マラッカ海峡風のタイルが1枚の写真に収まってしまう——この家を一枚で説明するなら、たぶんこの写真です。


館内には展示ケースもあります。刺繍の靴、陶片、ビーズ細工。ホテルであると同時に、小さな博物館でもあります。
いまも人が泊まっている家です
ここが博物館と違うところ。ブルーマンションは現役のブティックホテルで、バーとレストランも入っています。


バーはこんな雰囲気です。ここはツアーの予約がなくても利用できるそうで、入口の掲示にも「バー・レストラン・カフェをご利用の方は警備員にお申し出ください」という趣旨のことが書かれていました。中の空気だけでも味わいたい、という人にはこの入り方があります。
館内には「Tea for Two」のアフタヌーンティー(1セットRM138/12:00〜17:30)の案内も出ていました。


そしてこれが線引きです。奥にプールのある中庭が見えていますが、手前の扉に真鍮の札があり「ENTRY EXCLUSIVE TO GUESTS STAYING AT THE MANSION(宿泊者専用)」。ツアーで入れるのはここまで。



この札の向こうに泊まれるのか、と思うと素直にうらやましかったです。次にペナンに来るときの宿題ができました。
今回のおもしろ発見(旅育)
🌏 今回のおもしろ発見(旅育)
① 見たいものには、先に手を打つ必要がある— 目の前に「SOLD OUT」の札と、入れずに外から撮っている人たち。予約という段取りが体験そのものを分けることを、実物で見た
② 日本語の音声ガイドで、自分の見学になった— 連れて回られるのではなく、自分でボタンを押して聞く。「先に行ってていい?」と歩き出した
③ 家の真ん中に、屋根のない部屋がある— 中庭に立って風を感じ、それが飾りではなく風水にもとづく設計だと知った
④ ちがう国のものが1軒に同居している— 中国の書、ヨーロッパのステンドグラス、ヴェネツィアの鎧戸。港町だったからこそ集まったことを、部屋を歩きながら理解した
パパのワンポイント|行く前にやっておくこと
✅ ブルーマンション攻略チェックリスト
① 公式サイトで先に予約する。これが全てです。私たちは1週間ほど前に取りました
② セルフガイド音声ツアーは1日10名まで。ガイドツアーは1回24名まで。枠が小さいので早めに
③ イヤホンとスマホを持っていく。音声ツアーは自分の機材で聞きます。館内での貸出はありません
④ アプリでは日本語も選べました(案内板の表記は英語・中国語)。子連れなら音声ツアーのほうが向いていると思います
⑤ 入場は開始のおよそ10分前から。警備員に予約名かQRコードを見せて中へ入ります
⑥ プールのある中庭は宿泊者専用。ツアーで入れる範囲は外観・ロビー・中庭・1階と2階の展示です
⑦ ツアーが取れなくても、バー・レストランなら入れます。警備員に利用の旨を伝えてください
⑧ 徒歩圏にストリートアート・セント・ジョージ教会・スリ・マハマリアマン寺院。予約時間を軸に、その前後を街歩きに充てるのが組みやすいです
★総合評価
★ ブルーマンション(張弼士邸) 総合評価
観光・体験の満足度 ★★★★★(2000年にユネスコのアジア太平洋文化遺産保全賞を受けた修復建築に、1日10名の枠で入れる。38室・5つの中庭・220枚の窓という規模の邸宅が、いまも現役で使われている状態で見られる。代わりのきく場所がありません)
子連れのしやすさ ★★★☆☆(自分のスマホで聞く音声ツアーは子どもと相性がよく、日本語も選べました。一方で内容は完全に大人向けで、走り回れる場所でもありません。イヤホンの用意も要ります)
コスパ ★★★★☆(大人RM25で、これだけの建築と展示を自分のペースで見られる。無料の寺院や壁画が多いジョージタウンでは有料の部類ですが、価格以上でした)
アクセス・利便性 ★★★★☆(ジョージタウン中心部のリース通りで、主要スポットはすべて徒歩圏。ただし予約が前提なので、思い立って立ち寄れる場所ではありません)
満足度を★5にしました。「有名だから」ではなく、保全の仕事が国際的に評価された建物を、1日10名の枠で歩けるという一点です。
子連れを★3にしたのは正直な評価です。設備は子ども向けではありません。ただ音声ツアーという形式が、子どもを「連れられる側」から「自分で見る側」に変えたのは事実で、そこは声を大にして伝えたいところです。
このクラスターの全体まとめはペナン3泊4日まとめ|空港到着からKLへの陸路移動まで全19記事でまとめています。あわせてどうぞ。
施設情報
【施設名】ブルーマンション/張弼士邸(Cheong Fatt Tze – The Blue Mansion)
【所在地】14, Lebuh Leith, 10200 George Town, Penang, Malaysia
【見学方法】要予約。ガイドツアー(英語)11:00・15:30/所要45分・1回24名まで、セルフガイド音声ツアー 11:30・12:30・13:30・14:30・16:30・17:30、プライベートツアー 12:00〜14:00(3日前までに要連絡)
【料金】ガイドツアー 大人RM25/子どもRM12.50(6〜12歳)。セルフガイド音声ツアー 大人RM25。プライベートツアー 1組RM350または1人RM25(最大20名)
【定員】セルフガイド音声ツアーは1日10名まで(eチケット記載)。ガイドツアーは1回24名まで
【持ち物】音声ツアーは自分のスマートフォンとイヤホンが必須。購入後にSmartGuideアプリへ案内されます
【見学範囲】外観・メインロビー・中庭・1階と2階の展示。プールのある中庭は宿泊者専用
【建物】19世紀末に建てられた邸宅で、案内板には「130年の歴史」と記載。部屋38室・中庭5つ・階段7つ・窓220枚。1989年に地元有志が取得し1990年代に修復、2000年にユネスコ アジア太平洋文化遺産保全賞を受賞
【併設施設】ブティックホテル、バー、インディゴ・レストラン、カフェ。バー・レストランはツアー予約がなくても利用可(警備員に申し出)。アフタヌーンティー「Tea for Two」1セットRM138/12:00〜17:30の案内あり
【所要時間の目安】45分〜1時間
※料金・ツアー時間・定員は変更されることがあります。訪問前に必ず公式サイトで最新の案内をご確認ください。現役のホテルでもあるため、宿泊客の方の迷惑にならないよう館内の案内に従ってください。
家族旅行の準備って、正直めんどうですよね。行き先を決めて、時間を調べて、予約して。でもブルーマンションは、その面倒をやった人だけが門の内側に入れる場所でした。門の外で写真を撮っている人たちを横目に中へ入ったとき、メイが少し得意そうな顔をしていたのを覚えています。ジョージタウンは宿を街区の中にとれるかどうかで、予約時間に合わせた動き方のしやすさが変わります。気になった方はぜひ以下のリンクから、空室状況や最新のプランを確認してみてくださいね。素敵な旅になりますように!
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▶ ブルーマンション(張弼士邸)の料金・空き状況をKLOOKで見るツアーで入れるのは中庭までで、プールのある奥の中庭は宿泊者専用でした。あの真鍮の札の向こう側に泊まりたい方はこちらから空室と料金を確認できます。
ブルーマンション よくある質問
ブルーマンションは予約なしで入れますか?
難しいです。私たちが訪問した日は、到着した時点で門に「TOUR TICKETS SOLD OUT」の札が下がっていて、外から建物を撮るだけで帰る人が何組もいました。セルフガイド音声ツアーは1日10名まで、ガイドツアーは1回24名までと枠が小さいので、公式サイトから事前予約するのが確実です。
日本語のガイドはありますか?
ガイドツアーは英語のみです。ただしセルフガイド音声ツアーのアプリ(SmartGuide)では日本語の音声を選べました。現地の案内板には英語と中国語としか書かれていませんが、実際にはそれ以外の言語も入っています。日本語で聞きたい場合は音声ツアーを選ぶのがおすすめです。
入場料はいくらですか?
2026年7月時点の現地案内板では、ガイドツアーが大人RM25・子ども(6〜12歳)RM12.50、セルフガイド音声ツアーが大人RM25でした。プライベートツアーは1組RM350、または1人RM25(最大20名)です。
子連れでも楽しめますか?
音声ツアーなら向いています。自分のスマホで日本語の解説を聞きながら自分のペースで回れるので、小3の娘は「先に行ってていい?」と自分から歩き出しました。ただし展示内容は大人向けで、走り回れる場所ではありません。子どもの分のイヤホンも忘れずに持っていってください。
ツアーが取れなかった場合、中を見る方法はありますか?
バーやレストラン、カフェの利用であれば、ツアーの予約がなくても入れます。入口の掲示に「バー・レストラン・カフェをご利用の方は警備員にお申し出ください」とありました。建物の中の空気を味わうだけなら、この方法があります。館内にはアフタヌーンティー(1セットRM138/12:00〜17:30)の案内も出ていました。








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