タロンガ動物園に入らない絶景散策|無料で見るオペラハウスとハーバーブリッジ

「タロンガ」と聞いて、たぶん多くの方が思い浮かべるのは動物園だと思います。シドニー湾を見下ろす高台にあって、キリンの向こうにオペラハウスが見える——あの有名な写真の場所です。

2026年7月、僕はそのタロンガでフェリーを降りて、動物園には一歩も入りませんでした。入園ゲートの前を素通りして、逆方向の遊歩道へ歩き出したんです。

理由は単純で、タロンガ動物園のある岬はまるごとシドニー・ハーバー国立公園で、そこに無料で歩ける道が通っているからです。しかもその道の先にあるのは、シドニーでも指折りの絶景と、第一次世界大戦の本物の遺構でした。

のんたん

今回はひとり旅。動物園は次に家族で来たときのお楽しみに取っておいて、この日は大人の足で歩き回ることにしました!

目次

タロンガ動物園ワーフ——降りた瞬間に道が2つに分かれる

サーキュラーキーからフェリーに乗ると、10分ちょっとでタロンガ動物園ワーフに着きます。船の窓から対岸の斜面がぐんぐん近づいてきて、家々が木々の間に見え隠れするようになったら、もう到着です。

フェリーの上から見たシドニー湾北岸の斜面。木々の間に家々が点在する

タロンガのワーフは、屋根がゆるやかに反った気持ちのいい建物でした。

タロンガ動物園ワーフの建物。ゆるやかに反った屋根と柱が並ぶフェリー乗り場

船を降りて桟橋を歩くと、頭上にこの案内が出ています。

タロンガ動物園ワーフの頭上サイン。Main Zoo Entry(バス)、Lower Zoo Entry 300m walk、Accessible wharf exit の3方向表示

「Main Zoo Entry(メインゲート)はバスで上へ」「Lower Zoo Entry は徒歩300m」。動物園に行く人はここで上を目指します。

ワーフの目の前がバス停で、ここから動物園のメインゲートまで上がれます。歩くと結構な登りなので、動物園が目的ならバスが正解だと思います。

青い丸にBのバス停標識「Taronga Zoo Wharf」。背景は岩壁と木立

僕が向かったのは、この案内のどれでもない方向でした。

【2026年の重要情報】遊歩道の一部が工事で通行止めです

歩き出してすぐ、こんな看板がありました。これは訪問前に知っておいた方がいいので、先に共有します。

遊歩道の通行止め告知看板。2026年5月11日からスカイサファリ工事でフォアショア・トラックの一部が閉鎖される旨と迂回路の地図

看板にはこう書かれています。2026年5月から、タロンガ動物園ワーフからホワイティング・ビーチまでのフォアショア・トラック(海沿いの遊歩道)の一部が、スカイサファリの工事のため閉鎖。ブラッドリーズヘッド・ウォーキングトラックとホワイティング・ビーチの間に迂回路が設定されています。

歩く前に確認したいこと
  • 閉鎖されているのは「ワーフ〜ホワイティング・ビーチ」側。今回歩いたブラッドリーズヘッド方面は通れました
  • 工事はスカイサファリ(動物園のロープウェイ)の改修に伴うもの。終了時期は看板に書かれていませんでした
  • 現地の看板がいちばん新しい情報です。ワーフを出たところにあるので、必ず現物を確認してください

シドニー・ハーバー国立公園の道へ

動物園の外周に沿って歩いていくと、金網の向こうに木々が茂り、道はだんだん森らしくなっていきます。左手はずっと海です。

動物園の金網沿いに続く遊歩道。右手は木立、路面は舗装から土に変わっていく

しばらく進むと、この道標が現れます。ここから先が本番でした。

「Sydney Harbour National Park」の道標。アソール・ホール、ブラッドリーズヘッド、チャウダーヘッドへの矢印と徒歩時間

「Sydney Harbour National Park」。アソール・ホール、ブラッドリーズヘッド、チャウダーヘッドへの矢印が並んでいます。動物園の入園料を払わなくても、この道は誰でも無料で歩けます。

ノリス

有料の動物園と無料の国立公園が同じ岬に同居しているの、面白い構造なんですよね。どちらもフェリーが運んでくる同じ客を受け止めている。

アソール・ホール——コーヒーを飲むはずが、貸切でした

道の途中に、芝生の広場と白い建物が現れます。アソール・ホールです。

アソール・ホールの広い芝生と白い平屋の建物。奥は木立

ここは1908年の建物で、もとは個人の邸宅、その後アソール・ガーデンズ・ホテルとしてダンスやパーティーの舞台になってきた場所です。いまはイベント会場として使われていて、コーヒーも飲めると聞いていました。

ここで芝生に座って、市街を眺めながら一杯やろう——そう思って歩いてきたんです。

アソール・ホールのベランダ。白い壁に窓が並び、椅子が積まれてイベントの準備がされている

ところが、この日は結婚式で貸切でした。ベランダに椅子が並べられ、準備の真っ最中。コーヒーは買えませんでした。

のんたん

正直、これはちょっと残念でした!でもこんな芝生と海が目の前の場所で式を挙げるなんて、素敵すぎますよね。まあ、そういう日もあります。

これは実際に行ってみないと分からない部分なので、正直に書いておきます。この道には、確実に飲み物を買える場所がありません。アソール・ホールが開いていれば買えますが、貸切の可能性があります。ワーフを出る前か、乗る前のサーキュラーキーで買っておくのが安全だと思います。

ブラッドリーズヘッド——ここが目的地です

アソール・ホールを過ぎると、道は岩と木の間を縫うようになります。要所要所にベンチが置かれていて、しかもその全部が海を向いています。

ブラッドリーズヘッドの遊歩道沿い、岩場に置かれた木製のベンチ

木々の切れ目から、こんな景色が覗きます。水の色が浅いところで緑に変わるのが上から見えて、しばらく足が止まりました。

木々の切れ目から見下ろすシドニー湾。浅瀬が緑色に透け、対岸に市街が small く見える

そして岬の先端に出ると、視界が一気に開けます。

ブラッドリーズヘッドから木々越しに望むシドニー市街とハーバーブリッジ、ヨットの浮かぶ湾

正面にシティのビル群、その左にハーバーブリッジ。海の上をヨットが行き交っていて、フェリーが白い航跡を引いていきます。ここまで、お金は1円も払っていません。

HMASシドニー記念マスト——1914年の海戦が、ここに立っている

岬の先には、海に向かって細い塔のようなものが立っています。

ブラッドリーズヘッドに立つHMASシドニー記念マスト。青空を背景に細い塔が海に向かって立つ

これがHMASシドニー記念マストです。オブジェではありません。実際に軍艦に立っていた本物のマストで、1928年に退役した初代HMASシドニーのものを、1934年にここへ据えたものです。

HMASシドニー記念マストの上部。支柱と索具が青空に伸びる

足元の解説プレートを読んで、背筋が伸びました。刻まれていたのは「シドニー=エムデン海戦」の記録です。1914年11月、ココス島沖。オーストラリア海軍の艦艇が参加した、第一次世界大戦で最初の海戦でした。

記念マストの柱に取り付けられた解説プレート。シドニー=エムデン海戦と戦死した乗組員の名前が刻まれている

プレートには戦死した4人の名前が、階級とともに一人ずつ刻まれています。上のプレートには、このマストのライトアップと軍艦旗の掲揚が「海で失われたすべての艦へ」捧げられたことが記されていました。

HMASシドニー記念マストの足元の円形石畳。中央に軍艦を描いた銅の銘板がはめ込まれている

マストの周りは円形の石畳になっていて、中央に銘板がはめ込まれています。観光地の賑わいはまったくなくて、聞こえるのは風と波の音だけでした。

記念マストの周囲の円形石畳の広場。中央にドーム状の台座がある

岬の先端は、岩が四角く切り出されたような地形になっています。ここが軍にとって重要な場所だった名残なのだろうと思いながら歩きました。

ブラッドリーズヘッドの岬先端。岩が四角く切り出された地形が残る
ノリス

湾の入口を見張る岬に、湾を守った艦のマストを立てる。ここに置くしかなかった場所なんだと思います。景色が良いから選んだんじゃないんですよね。

ひとりで来てよかったと思ったのは、この場所でした。誰かと一緒だと、たぶん景色の話をして終わっていた気がします。

ブラッドリーズヘッドの岬から見たシドニー市街のスカイラインとハーバーブリッジ、青い湾

結局、動物園の門はどうだったか

帰り道、動物園のメインゲートの前を通りました。

タロンガ動物園の正門。装飾された門柱と階段、Zoo Entry の案内

立派な門です。中からは楽しそうな声が聞こえてきて、正直ちょっと後ろ髪を引かれました。ここは次に家族で来るときのために取っておきます。

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▶ タロンガ動物園の料金・空き状況をKLOOKで見る

※タロンガは当日窓口でチケットを販売しておらず、事前購入が必須です(日本語で予約可)。次に家族で入るとき用に、価格・在庫はKLOOKの表示が最新です。

ワーフに戻って、時刻表を確認します。

タロンガ動物園ワーフのF2フェリー時刻表の掲示

歩いた時間は、ワーフを出てから戻るまでちょうど1時間ほどでした。フェリーの往復を足しても、午前中だけで完結します。「動物園に丸一日は取れないけど、タロンガの景色は見たい」という人には、ちょうどいいサイズだと思います。

入園せずにタロンガを楽しむコツ
  • ワーフを降りたら、動物園の案内ではなく国立公園の道標を探す。ブラッドリーズヘッド方面へ
  • 飲み物は乗る前に買っておく。アソール・ホールは貸切のことがある
  • ベンチが多いので、コーヒーを持ち込めば「海を見ながら休憩」がどこでも成立する
  • 坂と階段があるので、歩きやすい靴で。舗装路と土の道が混ざります
  • 2026年5月からの通行止め区間があるので、ワーフの看板を必ず確認

★ ブラッドリーズヘッド散策の総合評価

★ 総合評価(ひとり利用・2026年7月訪問)

観光・体験の満足度 ★★★★☆(無料でシティ・ハーバーブリッジ・ヨットの海を一望でき、その先に1934年建立のHMASシドニー記念マストが立っています。ただシドニーには他にも見晴らしの良い無料の岬があり、「ここでしか」と言い切れる格までは正直ありません)
ひとり・出張での使いやすさ ★★★☆☆(静かで、海を向いたベンチが点在するので一人でも間が持ちます。一方でこの日はアソール・ホールが結婚式の貸切で、道中に飲み物を買える場所がゼロでした。補給が読めないのは正直マイナスです)
コスパ ★★★★★(遊歩道はシドニー・ハーバー国立公園の一部で入場無料。動物園に入らなくても岬の絶景と戦争遺構に到達できます。かかるのはフェリー代だけです)
アクセス・利便性 ★★★★☆(サーキュラーキーからフェリーで10分強、ワーフを降りたら道は一本です。ただし2026年5月からワーフ〜ホワイティング・ビーチ間が工事で通行止めで、迂回が必要な区間があります)

📖 シドニーのフェリーの乗り方・運賃の完全ガイドはこちら

このクラスターの全体まとめはシドニー フェリー完全ガイド|1日9.65豪ドルで乗り放題の絶景ホッピング術でまとめています。あわせてどうぞ。

施設情報

【施設名】ブラッドリーズヘッド/HMASシドニー記念マスト(Sydney Harbour National Park)
【所在地】Bradleys Head Rd, Mosman NSW 2088, Australia
【営業時間・定休日】遊歩道は常時開放(夜間は照明がないため日中の利用を推奨)
【料金目安】無料(タロンガ動物園の入園料は不要。アクセスに使うフェリーはOpal運賃 7.35豪ドル〜)
【アクセス】サーキュラーキーからフェリーF2でタロンガ動物園ワーフへ(約12分)。ワーフからブラッドリーズヘッドまで徒歩
【公式HP】NSW National Parks(Bradleys Head Lookout)
※遊歩道は2026年5月から一部区間が工事で閉鎖されています。最新の通行状況は必ず公式HPおよび現地の看板をご確認ください。

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